近年、フランスで「お弁当」が人気を博しています。
当記事では、フランスで「お弁当」が浸透した理由と背景について説明します。
\こんな人に読んでほしい/
- フランスのお弁当ブームについて知りたい
- 日本ブームって具体的にどんなもの?
- フランスの日常生活に関心がある
フランスと日本の食文化

フランスは世界を代表する農業国で特に酪農が盛んです。
例えば、牛やヤギの乳から作られる乳製品や豚から作るハムやソーセージなど。
そして主食は小麦から作るパンです。
一方、日本はお米を主食とし、おかずは旬な魚、肉、野菜を使って作ります。
そのため日本のおかずはレパートリーが多く、ヘルシーで、栄養をバランスよく摂取することができます。
フランスはもともと日本文化に対する関心が高く、こうした理由も相まって数年前から日本食ブームが起こっています。
アニメや情報誌の影響

そのような親日国フランスでは、日本のアニメ・漫画も人気です。
パリでは年に1回、日本のサブカルから伝統文化まで日本文化をテーマにした“JAPAN EXPO”(ジャパン エキスポ)という博覧会が開催され、24万人以上の参加者を動員するほどの熱狂ぶりです。
昼休みになるとみんなで机をくっ付けて、お母さんの作ってくれたお弁当を食べる。
このような学校の「お弁当」のシーンはアニメや漫画によく登場しますが、フランスにはもともと「お弁当」という概念はありません。
「なんだかお弁当って美味しそう」
「お弁当って可愛くて憧れる」
そんな風にフランスでは「お弁当」に対する関心が高まっていきます。
※タッパーにおかずだけ入れて持っていくごくシンプルなスタイルはもともとフランスにもありました。
フランスのランチスタイルの変化

フランスでは食事の時間を大切にする文化があります。
2時間以上かけて家族で食事を囲むことはフランス人にとって日常で、ランチも同様に時間をゆっくりかけてとるという様子は、数年前まではごく普通の光景だったそうです。
ところが不景気の影響でレストランには行かず、サンドイッチやタッパーにたべものを入れて、ごはんを30分で終わらせることも珍しくなくなりました。
弁当箱専門店の登場

そこで登場しブームとなったのが、あの日本の「お弁当箱」です。
もともと日本文化に関心をもっていたというフランス人起業家・株式会社BERTRAND代表のBERTRAND THOMAS(ベルトラン・トマ)により弁当箱専門店「Bento&co」が立ち上げられました。
日本製のお弁当は凝っていて、機能性が高く、デザインもバリエーションに富んでいるのでフランス人にも人気だそうです。
この方が火付け役となりフランスで「お弁当ブーム」が到来しました。
なんと”Bento”はフランスの辞書にも載り、共通語になりつつあるそうです。
フランスの食文化との親和性

こうした背景により、フランスでは「お弁当文化」が受け入れられ広く浸透しましたが、実はフランスの食文化とお弁当は相性の合わない部分があります。
それは、お弁当のおかずのレパートリーの多さです。
フランスの食事といえば、前菜、メイン、デザートが主流です。
また、家庭料理では“bouillabaisse”(ブイヤベース)という野菜や魚貝類を入れるフランス式の寄せ鍋的料理が主流なので、おかずの品数は少ないのです。
つまり、おかずをたくさん作る文化がないフランス人にとって、「お弁当作り」は結構ハードルが高いのではないでしょうか?
売れているお弁当レシピ本

「日本式のお弁当作りはフランス人にとって難しいのではないか?」
そのような疑問はいとも簡単に打ち砕かれました。
書店ではお弁当レシピ本が並び、おかず満載のお弁当を自分で作ってしまうフランス人も多いのだとか。
日本と違うところは、手間暇を惜しまずおかずを作りセンスのあるお弁当作りを楽しんでいるところ。
驚くことに、「キャラ弁」まで再現されいるそうです。
文化受容-文化が海を越えて融合したり、より洗練したものへ作りかえられたり

フランスはもともと多文化に対して寛容で、文化受容の感度が非常に高いことが特徴の国です。
そこにヘルシーな日本食文化が入り、健康志向と節約志向の風潮が相まって「お弁当」が受け入れられたと考えられます。
日本もまた近代以降、海外の様々な文化が取り入れられた国です。
フランスから日本に渡ってきた文化もたくさんあります。
もしかしたら、普段使ってる何気ないものが、海を越えたらものすごく価値のあるものになるかもしれない…。
このように考えると、わくわくしませんか?
様々な文化が取り入れられ、融合したり、より洗練されたものへ作り変えられる。
こうした文化受容は実は昔から行われているのです。
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