フェイクニュースの見分け方 フランスの事例を踏まえて

みなさんは「フェイクニュース 」という言葉を聞いたことはありますか?

直訳すると「嘘のニュース」、つまり虚偽の情報を広めるデマのことです。

このフェイクニュースによって世論が誘導され、人々の混乱を招くことが今日の社会問題となっています。

今回は、このフェイクニュースについてフランスの事例を踏まえて書いていこうと思います。

あき
フェイクニュースは近年の重要なトピックの一つです

フェイクニュースとは?

フランス語でフェイクニュースは、« fausses nouvelles » と綴ります。

その名の通り、「虚偽報道」のことです。

しかし、フェイクニュースをさらに正確に定義すると「故意に偽造された虚偽報道 」のことを指します。

さらにたちが悪いのは、フェイクニュースだと知りながら、自己の利益のためにSNSなどでこれを拡散することです。

現代ではこのフェイクニュースが蔓延しています。

あき
ネットやSNSの普及によりフェイクニュースの影響が無視できなくなってきています

フェイクニュースによる実害

フェイクニュースによる実害は計り知れません。

コロナ禍における情報錯綜による混乱を見ればわかるように、日々虚偽の事実が様々な形で実社会に影響を及ぼしています。

また、米大統領選挙戦においてもフェイクニュースの波及により、選挙結果に影響が出たことは有名です。

フェイクニュースの特徴として、人目を引くような過激な内容や誇張表現などが挙げられます。

しかし、最も厄介なのが「正しい情報より早く広まってしまう 」ということです。

これは、ネットやSNSの普及により情報が拡散されやすくなったためです。

歴史を振り返ると、噂話や誤報、デマ、プロパガンダなどが歴史を動かしたこともあるのです。

あき
フェイクニュース自体は歴史的に古くから存在していたのですね

なぜフェイクニュースが蔓延するのか?

歴史的に見ても、フェイクニュースは常に存在してきたもののようです。

しかし、今日のフェイクニュースの実態は少し異なります。

それは、「退屈な」ニュースより「面白い」ニュースの方がシェアされ、アクセスを伸ばしやすいことです。

では、いったいなぜこのようなことをするのでしょう?

そこには「」が絡んでいます。

広告収入目当てのアクセス稼ぎの人もいます。

あるいは、自分勝手な主張を広めたり、目立ちたいというサイト運営者も。

さらには、国際的な思惑をもつ情報工作に用いられるケースも存在します。

世界のフェイクニュース対策

このようなフェイクニュースに対策を講じているのが、イギリスの公共放送「BBC」 です。

BBCは対策として、世界中のフェイクニュースを集めて「Beyond Fake News 」として公開しています。

フェイクニュース -BBCニュース

BBCニュース

フェイクニュース…

なぜBBCがフェイクニュース対策をするのでしょうか?

それは、BBCが42の言語で放送しており、その国々のニュースをチェックできる規模と能力を持っているからです。

BBCは世界をリードする放送局なのです。

ただし、すべのニュースに対応できるわけではないため、NHKを含むグローバル公共放送団体の間で議論し、多様な報道機関と連携しています。

あき
こうしたサービスを利用して事実確認をすることが大切です

フランスにおけるフェイクニュース

フェイクニュースは米大統領戦だけでなく、フランス大統領選においても拡散されました。

5月7日の決選投票直前に、マクロン新大統領に対するフェイクニュースが流れたのです。

その内容は、「隠し口座疑惑」。

また、サイバー攻撃によるメールや公的文書などの大量流出も起こりました。

しかし、その攻撃はほとんど効果がありませんでした。

いったいそれはなぜなのでしょう?

その背景には、マクロン陣営の周到なサイバー攻撃対策や、米仏のメディア環境の違いがあったとされています。

フランスメディアの対策

フランスでは以前から、「クロスチェック 」という連携プロジェクトが始動していました。

これは、米大手IT企業がメディアと連携してファクトチェック(=事実確認)に取り組む「ファースト・ドラフト・ニュース」とフランスメディアが協力して行うフェイクニュース対策です。

これにより、今回の隠し口座疑惑も捏造であることが判明しました。

サイバー攻撃と情報流出

フランスでは選挙の公正を期すため、投票当日夜10時から投票日夜までの44時間、選挙活動や選挙報道が禁止されます。

しかし、この直前のタイミングで、マクロン陣営の電子メールや公的文書が大量流出されてしまいました。

さらに、偽造された文書も混じっていたということです。

マクロン陣営の対策

米大統領戦でのフェイクニュースの影響をみて、マクロン陣営も何も対策をしてこなかったわけではありません。

実は、マクロン陣営も周到に対策を講じてきました。

一つは、「サイバーブラリング 」と呼ぶ戦略です。

これは、偽のメールと文書などを大量に用意し、サイバー攻撃が起こった際それらも流出させることで、攻撃元を混乱させるというものです。

結果、この対策により攻撃元の動きを鈍らせることに成功したのです。

最終的に、決選投票の得票率はマクロン氏66%、ルペン氏34%でマクロン氏の勝利となりました。

なぜフェイクニュースはフランスで効果がなかったのか?

フェイクニュースがフランス大統領選でさほど影響を及ぼさなかったのはマクロン陣営の対策が功を奏したのは間違いありません。

しかし、理由は本当にそれだけでしょうか?

そこにはフランスの社会的背景 があります。

その理由は、

  1. フランス語の言葉の壁
  2. メディア環境の違い

が挙げられます。

一つは、フランス大統領選においてフェイクニュースを拡散しようとした米国の右派グループに言葉の壁があったことです。

英語とフランス語の壁は予想以上に高かったのでしょう。

言語の壁によって拡散力が低下していたようです。

二つ目に、メディア環境の違いが挙げられます。

フランスにはFOXニュースがないと言われます。

つまり、FOXのように幅広い視聴者層とパーソナリティを抱え、フェイクニュースなどの情報を取り上げ拡散する放送局がないのです。

これにより視聴者の混乱は起きにくかったと思われます。

あき
フランスの社会構造の違いがフェイクニュースの拡散を防いだようですね

フェイクニュースを見分けるためにできること

情報を受け取る側の私たちができることは、「違和感」を見抜く洞察力を鍛えることではないでしょうか?

例えば、他のメディアの記事を読んでみるのも有効です。

同じ事柄でも他のメディアで事実関係が食い違っている場合、情報に「」が含まれる可能性が高いと思われます。

また、掲載しているサイトの信憑性を確認する方法もあります。

そのサイトの評判やソース掲載を確認することでフェイクサイトでないかどうか分かるはずです。

情報に触れる際は、普段から少しの「違和感」に気付けるように感度を上げておくことが大切だと思います。

また、感情的にならず冷静な判断を心がけることも重要です。

あき
自戒を込めてここに記します

参考文献(閲覧日:2021年1月23日)


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