近年、グローバルコミュニケーションの重要性が取り上げられる昨今ですが、海外の方と意思疎通をするうえで必要なことはなんでしょうか?
「語学力」「コミュニケーション能力」「ノリの良さ?」
さまざまな回答が返ってきますが、ほんとうに大切なことは一体なんなのでしょうか?
では、その答えと理由についてみていきましょう!
語学力、コミュニケーション能力は本当に大切なのか?

まず先に挙げた語学力ですが、これはグローバルコミュニケーションにおいて最重要スキルなのでしょうか?
僕はこれについて疑問を持っています。
なぜか?
それはAI翻訳・AI通訳の台頭によって語学スキル自体が代替可能なものになるからです。
語学力というと、日常会話やビジネスシーンにおける外国語での意思疎通がイメージされますが、これらはすでにテクノロジーの導入によって補完することが可能だと思います。
ネット翻訳に代表されるGoogle翻訳ですが、こちらも独自のアルゴリズムを発展させ、複雑な文章構造でも意味が通るよう訳出できるところまで精度が向上しています。
現時点でGoogle翻訳でできないのは書き手の意図がはっきりしないような文章、例えば、どちらにもとれるような曖昧な表現だったり、そもそも書き手がミスをして意味が通らないような文章です。
これは、人間の出力の部分におけるエラーなので、使い手側の責任であり、むしろデバイスを使いこなすスキルを養うことが必要です。
今後、テクノロジーの発達を考えるとこれらの課題は解決されていくことでしょう。
「語学力」は確かに大切ですが、このような点で考えると、将来代替可能なスキルです。
なので必ずしも最優先事項ではないと僕は考えています。
次に述べた「コミュニケーション能力」ですが、そもそも「コミュニケーション能力」とはなんでしょうか?
新人採用の場でも「コミュニケーション能力」の重要性が取り上げられる昨今ですが、人事部の方に聞いてみても、「会話を途切れさせないこと」「盛り上げ上手」などなんとも曖昧な答えばかり返ってくるそうです。
個人的に「コミュニケーション能力」とは、「 相手の立場に寄り添うこと」だと思います。
それは相手対する関心・配慮を前提として、相手の気持ちを察することです。
そうすれば自ずと、相手について質問も浮かんできますし、話を掘り下げることができるでしょう。
この「察する」という行為は日本人が古来から大切にしてきた文化です。
対照的にフランスなど欧州では「表現し、伝える」ということに重きを置いているイメージがあります。
それぞれの文化に特徴があり、大切にしていることは異なるかもしれませんが、グローバルコミュニケーションという場においてどのようなことが重要になるのでしょうか?
次の章でみていきましょう。
日本について知ることの重要性

昔、パリから列車でノルマンディーに向かっていた時のこと。
ボックス席に3人の若者のグループが座っていて、話をしたことがありました。
初対面の相手なので、共通の話題を見つけるのは難しい。
最初の方の会話では、
「どこに行くの?」
「日本から来てホームステイ先のモンペリエへ行くところだ」
「そうか。僕は実家に帰るところだ」
といった話をしたあと会話が途絶えました。
そのあと、お互いに話題を探すような気詰まりな瞬間があって、相手がこう尋ねてきました。
「日本で人気なスポーツはなに?」
「野球かサッカーかな。個人的にはテニスが好きで、最近少しずつ人気が高まっているよ。」
「知っているよ!錦織圭だろ?」
「そうそう!僕は錦織のファンなんだ。やっぱり世界的に有名なんだね!」
「もちろん!こっちではその影響かユニクロも人気なんだよ!」
といった具合で話が盛り上がり、ずっと日本とフランスの話をしていました。
ここで分かるように、会話というのは話題がなにより大事です。
いくらフランス語ができても、お互いが興味を持てる話題がなければ会話が始まりません。
なんといってもこれが一番難しい。
ではどうすればいいか?
海外に行って会話をしようとした時、一番に必要なのが「日本」について話すことなのです。
しかし、私たちは「日本」について人に説明できるほど、何かを知っているでしょうか?
日本の気候や風土について、地理や歴史について、食べ物について、伝統芸能や習慣について、あるいは現代の日本社会について。
おそらく知らないことの方が多いのではないでしょうか?
こうした状況でまずやるべきは「日本」について知ることなのではないかと思います。
「日本」について紹介できることが増えれば、次第に会話のネタも増えてくるということです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、グローバルコミュニケーションにおける「教養」とはなにか?についてご紹介しました。
日本文化について知ることは、外国語を学ぶ上で、必ずプラスになると思います。
会話のネタというだけでなく、外国語や海外の文化を学んでいるからこそ、日本社会と比較し客観視することで、新たな発見があるかもしれません。
そうした姿勢が、 外国語学習に深みを与えてくれると僕は信じています。
ちなみに日本についてフランス語で紹介するために参考した書籍は『フランス人が日本人によく聞く100の質問 全面改訂版』『フランス語 日本紹介事典 JAPAPEDIA(ジャパペディア)【MP3 CD付 】』です。
いずれも日本文化・社会についてフランス人が関心を持ちそうな話題がまとまっています。
フランス語とそれに対する日本語訳が載っていて大変使いやすいです。
この本のトピックについて目を通すだけでも、話題にできそうな会話のネタを見つけることができます。
しっかり読み込めば、フランス語で説明できるトピックが増えていくでしょう。
この記事が外国語を学んでいる全ての方の参考になれば嬉しいです。
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