生活物資の不足、遠距離生活のストレス・孤独感。
母国に帰ることのできない状況が彼らを苦しめています。
2020年3月17日、コロナウイルス対策を厳格化する新たな措置として外出禁止令を出しました。
フランスに来て、輝かしい留学生活をスタートする予定だった留学生達は、厳しい困難に直面しています。
留学生に迫られる苦渋の選択
「特に、留学生にとっては非常に困難な状況」だと、パリ国際大学代表のLqurence Marion氏は語ります。
「狭い部屋で生活を耐え抜くには、市民が団結し協力することが必要だ。しかし、ウイルスの蔓延した状況では、集まることはできず不安だけが募っていく。」
世界中からフランス留学に来ている留学生のべ34万人はこの状況下で母国の家族と離れ離れで生き抜かなければなりません。
彼らにとって、帰国するか残るかを選択するのは早急に決めるべきことですが、これは想像以上に複雑です。
選択肢のある者もいれば、そうでない者もる。
国境は閉鎖され、飛行機のチケット価格は暴騰している。
仮に、帰国したとしても、隔離生活を強いられる。
9月にフランス・リヨンに到着したルーマニア人19歳のDenisaさんはこう語ります。
「飛行機の便は次々とキャンセルされ、フランスに来る者は隔離される。私はそこには行きたくないし、ルーマニアで病気の保険にも入ってない。」
ナント大学の生徒 Kusatさんはイスタンブールへのチケットを買ったそうです。
「もし仮に病気の兆候があれば、母国にウイルスを持って帰りたくはない」と彼は語ります。
帰国と聞くと安心ですが、仮に帰国者がウイルスに感染していた場合、病気を持ち運び蔓延させる危険があることを忘れてはいけません。
閉ざされた社会による心理的不安
ボルドー大学の校長 Véronique Debord氏は、深刻な経済的困難に直面している留学生とコンタクトを取り、こう述べています。
「彼らのアルバイトがなくなった。私たちは、彼らを助けるために社会保障金から助成しようと思う。」
政府は、ビザの期限に追い立てられている留学生のために滞在期間の延長を計画しました。
しかし、最もストレスなのはフランスに来たばかりの若い留学生だといいます。
この世界恐慌のなかで親しい知り合いはおらず、一人で生き抜かねばなりません。
「彼らの一部は19~20歳の若い留学生で、フランス語が全く分からず、英語で授業を受けている者もいる。医療システムについても知らず、医者を見つけるのにも困難を要する。健康衛生上のアドバイスも理解できない。心理的な負担も大きい。」
通常、環境は非常に構造化された社会で機能しているが、今は文化的活動、人と会うこと、ソワレもすべて自粛。
授業もない。試験も、催しも、図書館も、スポーツも食堂もない。
これは、不安と憂鬱を生み出し、回復の兆しもない。
大多数の人々にとってこの状況は、慢性的なストレスを生み出し続け、社会的つながりも絶たれ、次第に潜在的に潜んでいた心理的問題を発症する危険があります。
病院もいっぱいで診断してもらうのは困難です。
繋がりをもつこと
家族から離れて暮らす留学生にとって、メッセージやSNSなどで親しい人とコンタクトを取ることは、重要です。
精神科医のFlorence Robin氏によると、全てが悪い状況というわけではないそうです。
一息ついて、休息を取ることができるというポジティヴな面もあります。
サン・ルイ島で生活しているInèsさんはこう語ります。
「家族と離れているという事実について、私は考えすぎなようにしている。ただ悲しくなるだけだから。実は、今の状況はチュニスで起きたアラブの春を思い起こさせる。当時16歳だった私は、とても辛かった。しかし、私たちは1つのことに集中し、助け合った結果、乗り越えることができた。」
「パニックにならず支え合い、一緒に協力する方法を探る。それが、最終的に、絆を強める。」
前を向いて
暗い面だけ見て悲観しても何も変わらない。
今はポジティヴな面に目を向けて、できることを考えることが大切だと思う。
母国に帰れなくても、部屋から外に出れなくても、今、生活ができているだけでもまだ恵まれていると考え前向きに生き抜いて欲しい。
メッセージやSNSのようなネット環境の整った現代において、昔と比べれば、部屋にいてもできることは格段に増えた。
とにかく行動しよう。
前に進もう。
このようなときこそ、見ず知らずの人同士、協力し一致団結することで、困難を乗り越えることができるはずだと僕は信じています。
参考文献(閲覧日:2020年4月2日)
« Tout d’un coup, c’est le vide » : loin de leurs familles, la solitude des étudiants étrangers