金沢の兼六園や京都・龍安寺の石庭など、旅先で日本庭園を目にすることはよくあると思います。
フランス語ではどのように説明すれば良いのでしょう?
当記事では、フランス語で日本庭園を紹介する際の表現と予備知識をご紹介します。
\こんな人に読んで欲しい/
- 日本庭園に興味がある
- 日本文化についてフランス語で学びたい
- 通訳案内士を目指している
日本庭園とは
日本庭園について述べられたフランス語の文章をご紹介します。
Le jardin japonais
Le jardin japonais a pour vocation de reproduire fidèlement la nature et de recréer une beauté aussi pure que naturelle. Son style est de ce fait à l’opposé de celui d’un jardin européen tentant à remodeler la nature suivant une esthétique géométrique. Les trois principaux style de jardin sont appelés: Tukiyama, Karesansui, Chaniwa.
仏文日本絵とき事典11 (JTB)より
日本語訳
日本庭園は、自然を忠実に再現し、純粋でなおかつ自然な美しさを創造する役割を持っています。したがって、そのスタイルは自然を美的な幾何学的空間へと再編することを目指す西洋庭園とは対角に位置付けられます。日本庭園の主要な3つのスタイルは、築山、枯山水、茶庭と呼ばれます。
語句解説
- avoir vocation à …を使命とする、…に向いている
- reproduire …を再現する
- fidèlement 忠実に
- recréer …再創造する、復元する
- de ce fait そのことにより、したがって
- tendre à …することを目指す、目標とする
- remodeler …を再編する
- esthétique 美的な
- géométrique 幾何学の、幾何学的空間(図形)
- principal,ale 主要な
日本庭園のスタイルは池や地形を活かしたり、石や木を使って自然を表現するもので、四季の美しさを感じることのできる情景を造りだすことを目標としています。
日本の代表的な芸術作品とも言え、海外からも高く評価されています。
このように海や川のような自然風景を表現した演出のことを「見立て」と言います。
それでは、各様式にどのような見立てがあるのか、見ていきましょう。
築山(つきやま)Tsukyama

築山式庭園は丘や池、川など有名な自然風景を模して作られたいわば自然風景のミニチュアです。
この様式の代表的な日本庭園は岡山・後楽園や金沢・兼六園、水戸・偕楽園などが挙げられます。
関連語句
- miniature ミニチュア
- reproduction 再現
- colline 丘
- lac (大きな)湖
- rivière 川
- paysage 風景
枯山水 (かれさんすい) Karesansui

枯山水式の庭園は鎌倉時代後半から室町時代にかけて発展したもので、禅宗の影響を大いに受けているため禅宗寺院で見ることができます。
伝統的な庭園と異なり水が一切使われておらず、水の流れは熊手で跡をつけられた砂や小石で表現されます。
様々な形の石を用いて、滝や船、山、島、池などを表現します。
この様式は、簡素さと力強さによって特徴付けられることがしばしばあります。
代表的な庭園として、京都の竜安寺や大仙院が挙げられます。
関連語句
- époque 時代
- traduire 翻訳する、表現する
- spiritualisme 精神主義
- Zen 禅
- être influencé par …の影響を受ける
- traditionnel 伝統的な
- eau 水
- écoulement 流れ
- sable 砂
- gravier 砂利、小石
- être représenté par …によって表現される
- cascade 滝
- bateau 船
- montagne 山
- simplicité 簡素さ
- force 力、パワー
- se caractériser …によって特徴付けられる
茶庭(ちゃにわ) Chaniwa

茶庭(露地とも呼ばれる)は茶室に隣接する庭園であり、茶道の発展とともに創意工夫を凝らして造られるようになりました。
茶庭には通常、茶室へと通じる飛び石、石灯籠、客が茶室に入る前に手を洗い、口をそそぐためのつくばいなどがあります。
この茶室に付随する簡素な庭園は、広大な敷地を持つ寺院などではなく、敷地の限られた都市部の町屋において発達したと考えられているそうです。
茶庭は派手に見えることを極力避け、究極の簡素さ、気取りの無さを特徴とします。
これは、豊臣秀吉の側近である茶人・千利休が確立した「わび・さび」文化に通ずるもので、この文化を基調とした茶庭が「路地」から、より次元の高い「露地」へと昇華されたとされます。
関連語句
- adjacent 隣接の、近接した
- maison de cérémonie du thé 茶室
- style 様式、スタイル
- ingénieux 工夫を凝らした
- se laver 洗う
- se rincer 水で体を洗う
- sobre 簡素な
- dépouillé 飾り気のない
- produire 造りだす
- extrême 究極の、極限の
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、日本庭園に関するフランス語の表現と予備知識についてご紹介しました。
日本庭園と一口に言っても、それぞれのスタイルは多種多様です。
実際に訪れて、じっくり目の前で鑑賞することで芸術作品のメッセージを感じ取ることができると思います。
私自身も知識と感性を磨いて自分に合ったお気に入りの庭園を見つけたいと思いました。
なお「フランス語で日本文化を紹介」する記事に興味のある方は、僕が運営するブログ« Automne au Japon »もあわせて読んでみてください。
フランス語で日本文化を紹介しているブログなので、参考になれば嬉しいです。
\あわせて読みたい/
当記事では「通訳案内士を目指す」という僕自身の目標について綴りたいと思います。 \こんな人に読んで欲しい/ フランス語通訳ガイドになりたい 同じ目標を持った人と知り合いたい 海外の方に日本の魅力を伝えたい 通訳案内士([…]
近年、グローバルコミュニケーションの重要性が取り上げられる昨今ですが、海外の方と意思疎通をするうえで必要なことはなんでしょうか? 「語学力」「コミュニケーション能力」「ノリの良さ?」 さまざまな回答が返ってきますが、ほんとうに[…]
当記事では、フランス人を日本で案内していた際に僕自身が体験したちょっと困ったエピソードについて綴ります。 近年、海外からの旅行者も増えています。 そうした際に必要な「おもてなし」。 何が必要で、そのためにどうすべきなのか[…]