日本の漫画がフランスで大人気?イベントでの海外の反応とその理由

今や « manga » はフランスで誰もが知る言葉となっている。それほどまでに日本の漫画はフランス文化に浸透している。今回の記事ではフランスにおける日本の漫画事情について書いていきたい。

\こんなあなたに読んでほしい/

  • フランスにおいて日本の漫画はどのように浸透したのか
  • 日本の漫画が人気の理由を知りたい
  • フランスにも漫画はあるのか

フランスでは日本の漫画が大人気

来場者数24万人を誇る世界最大級の日本文化イベント「ジャパンエキスポ」では、日本の漫画は多くの熱狂的なファンの注目を集めている。フランスの本屋さんあるいはフランス版「ヨドバシ×TSUTAYA的存在」の « fnac » というお店には日本の漫画コーナーがある。そこでは日本の漫画が一面に並び、日本的空間を感じることができる。近年、日本の漫画喫茶も登場してきているという。フランスで日本の漫画が人気を博している様子が伺える。

日本の漫画がどれほど人気なのかは数字でみるとわかり易い。実はマンガ消費国1位の日本に続くのがフランスである。フランスにおいて、日本の漫画の売り上げは、フランスの漫画全般の売り上げのうち3割を占める。

なぜ日本の漫画がフランスで人気なのか

なぜ日本の漫画が爆発的にヒットしたのか。この理由について、フランスの漫画「バンド・デシネ」と日本アニメの影響、フランスにおける「オタク文化」の誕生という3つの要因が考えられる。以下に順を追って説明していく。

フランスの漫画「バンド・デシネ」の存在

フランスにもともと« la bande dessinée »「バンド・デシネ」という漫画の文化がある。略称は «B・D»「ベーデー」と言い、名前の意味は「描かれた帯」つまり「続き漫画」のことを意味する。フランス語圏でこのバンド・デシネは「9番目の芸術」と称され、批評や研究の対象となっている。

バンド・デシネはフランス語圏で生まれた文化であるが、日本の漫画からも影響を受けた作品も存在する。一方、日本の漫画にもバンド・デシネから影響を受けた作品がある。つまり両国の漫画文化は互いに影響を与え合い発展してきたのである。以上のことから、フランスには日本の漫画を受け入れやすい基盤があったということができる。

日本アニメの影響

フランスでの日本の漫画ブームの火付け役は、30年前に始まった日本のアニメーブームであると言われている。現代の20~40代フランス人の多くは、子供の頃に日本のアニメを観た経験がある。それは1978年7月に『UFOロボグレンダイザー』という日本のアニメがフランスのテレビで放送されたからである。このアニメは一躍大人気になり、当時の放送を見ていた子供たちの間で伝説的な作品となった。

さらに1987年から始まった「クラブ・ドロテ」« club dorothée »という子供番組では、数々の日本のアニメが放送された。例えば「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」「シティーハンター」「キャプテン翼」など日本でも人気の作品ばかりである。この影響によりフランスでは日本のアニメファンが数多く生まれた。日本のアニメブームがその後漫画ブームを巻き起こす下地を作ったといえる。

ちなみに、『UFOロボグレンダイザー』はあの『マジンガーZ』で有名な永井豪の作品である。『UFOロボグレンダイザー』はフランス語で『ゴルドラック』« Goldorak » と呼ばれ、フランスでは広く知られている。

フランスにおける「オタク文化」の誕生

フランスでのアニメブームは常に好調であったわけではない。日本のアニメは批判の対象にもなった。日本のアニメが子供たちに悪影響を与えるのではないかといった懸念の声が上がり始めたのである。当時においても日本への偏見が少なからず存在し、こうした懸念はすぐに蔓延した。その結果、90年代にはフランスで日本のアニメは放送されなくなった。日本のアニメを放送していたクラブ・ドロテも1997年に打ち切りとなる。

しばらくして熱りが冷めた後、子供の頃にアニメを見ていた若者たちが日本のサブカルチャーに関心を抱くようになった。彼らはアニメの代わりに、日本の漫画に夢中になった。流行に乗る形で日本から作品を輸入する漫画専門店も出てきた。バスティーユ広場付近にある「トンカム」 « Tonkam » というお店もその一つである。逆説的だが日本批判がフランスの「オタク」を生み出したといえる。

おわりに

日本の漫画文化がフランスに浸透した背景には、フランスの漫画「バンド・デシネ」の存在、フランスでの日本アニメの放送、フランスにおける「オタク文化」の誕生という3つの要因があった。

以前フランスでは、漫画といえばオタクが読むものという認識があった。しかし、日本文化が広まったことでそのような見方も変わってきている。現在漫画は若者から大人まで幅広い世代に読まれるようになっている。漫画のテーマが恋愛、戦闘もの、SFなど多種多様であり子供だけでなく大人も楽しめる作品が増えてきていることもその要因の一つである。フランスにおける漫画・アニメブームが今後どのように発展していくのか、その行く先に注目したい。

参考文献
IBCパブリッシング編『フランス語 日本紹介事典 JAPAPEDIA』、2015年、200頁。

フランスの漫画事情を知るための文献・情報ガイド

日本文化についてフランス語で説明するための参考書。200頁掲載のコラム『フランスとオタク文化について』(トリスタン・ブルネ)はフランスの漫画事情を理解するうえで非常に参考になる。今回の記事もこちらを参考に書いている。より詳しい内容について知りたい方はこちらを参照されたい。

80年代から90年代にフランスで放送された日本アニメの影響を受けた漫画家エルザ・ブランツが描くコミックエッセイ。80年代から90年代、フランスの女の子がオタク、そしてプロのマンガ家として大成していく様子が描かれている。これを読むとフランスのアニメ事情がよくわかる 。驚かされるのが、日本好きのフランス人がアニメや漫画について非常に詳しいことである。「好きこそものの上手なれ」と言うが、この熱狂ぶりには驚きを通り越して感動すら覚える。

関連記事

今回はフランスの漫画「バンド・デシネ」について紹介したい。日本のマンガとの違いはあるのだろうか。バンド・デシネとマンガそれぞれの特徴を比較しながらその違いについて考えていく。 バンド・デシネとは https://yo[…]

こちらの記事ではフランスのバンド・デシネについて日本の漫画との違いについて紹介している。サイズ、仕様、制作過程等の特徴に焦点を当て、それぞれについて比較しながら考察した。バンド・デシネについて詳細を知りたい方はこちらを参照されたい。

created by Rinker
株式会社 福音館書店
¥1,760 (2022/05/16 08:38:24時点 Amazon調べ-詳細)

日本で広く知られているバンド・デシネといえば『タンタンの冒険』シリーズがある。『タンタンの冒険』はベルギーの漫画家・エルジェの作品である。少年記者のタンタンと相棒の白い犬スノーウィが世界中を旅行し、旅先で事件に巻き込まれる物語である。

created by Rinker
¥1,650 (2022/05/16 06:54:51時点 Amazon調べ-詳細)

こちらの特集では実際の作品紹介とともにバンド・デシネの魅力を徹底的に紹介している。ルーヴル美術館BDプロジェクトから始まり、フランスと日本の人気作家たちが描く、圧巻の作品群を見ることができる。バンド・デシネについてより詳細な情報を求める方はこちらを参照されたい。

こちらはバンド・デシネに関するガイドブックである。徹底ガイドというタイトル通り、網羅的に解説がなされているため、バンド・デシネについて全体を俯瞰的に眺めることができる。最初の一冊として入門書をお探しの方はこちらを参照されたい。

『UFOロボグレンダイザー』は永井豪の作品で東映動画製作のロボットアニメである。全宇宙征服を目論むベガ星人から地球を守るためUFOロボ・グレンダイザーの搭乗者宇門大介は彼らと戦うことを決意する。

created by Rinker
集英社
¥440 (2022/05/16 07:23:49時点 Amazon調べ-詳細)
created by Rinker
¥4,673 (2022/05/16 01:06:42時点 Amazon調べ-詳細)

日本の漫画事情もまた進化を遂げている。ジャンプコミックスの王道といえば「ワンピース」「ナルト」「ブリーチ」などがある。近年では「鬼滅の刃」の単行本発行部数が「ワンピース」を越えるという社会現象が起こっており、今後も漫画ブームの勢いは加速していくと思われる。『鬼滅の刃』は大正時代が舞台の和風ダークファンタジーである。親兄弟を人喰い鬼に殺されてしまった少年・竈門炭治郎が、唯一生き残るも鬼となってしまった妹の禰豆子を人間に戻す方法を探るため鬼たちに立ち向かう。

\おすすめ書籍・DVDまとめ/

\あわせて読みたい/

関連記事

近年、フランスで「お弁当」が人気を博しています。 当記事では、フランスで「お弁当」が浸透した理由と背景について説明します。 \こんな人に読んでほしい/ フランスのお弁当ブームについて知りたい 日本ブームって具体的にどん[…]

関連記事

今回はフランスの漫画「バンド・デシネ」について紹介したい。日本のマンガとの違いはあるのだろうか。バンド・デシネとマンガそれぞれの特徴を比較しながらその違いについて考えていく。 バンド・デシネとは https://yo[…]

manga
最新情報をチェックしよう!