フランスのラジオを聴く:想像力から広がる世界

フランス語の勉強を始めて間もなく僕はフランスのラジオを聴いた。その時の記憶を辿りつつ、あれこれと考えたことを書き連ねていきたい。

初めてフランスのラジオを聴いたのは

初めてフランスのラジオを聴いたのはいつだっただろうか。NHKテキストの音声教材として切り取られたラジオ番組の一片、あるいは「フランス ラジオ」と検索して見つけたストリーミング音声だったか、記憶があいまいだ。

ただその語り手の話し方、フランス語の発音が美しかったことは鮮明に覚えている。(もちろんどんな内容を話していたのかは全く分からなかったのだが…)

これがのちに僕がフランスのラジオに夢中になるきっかけとなる。

フランス語ラジオのストリーミングサイト

フランス語の勉強を始め、一年が経った頃、友達に教えてもらったストリーミングサイトでフランスのラジオを聴くようになった。そのサイトでは若干のタイムラグはあるものの43ものラジオ局の最新ニュースを聴くことができた。

当時学生だった僕は通信制限を避けるため、自宅や大学、カフェのWi-Fiを利用して聴いていた。これは大変画期的で、これまでフランス語の音声教材といえば、フランス語テキストに付属するCD音源が主流だった。

確かにCD音源は監修された内容で、使える表現も多い。ただ、なんというかリアルさがない。決められたことを決められた様式で話しているので感情の起伏がなくどこか味気ないのだ。フランス人ナレーターが用意されたスクリプトをただただ単調に読み上げている様子が容易に想像できてしまう。

それにひきかえフランスのラジオ音源は優秀だ。司会やジャーナリスト、出演者の話し方、声のトーンなどからその人の感情がひしひしと伝わってくる。各々が意見を交わし白熱する議論の様子を肌で感じることができる。

話している内容も用意されたスクリプトではなく、その人が訴えたいこと、日常生活や社会の出来事など、今、世界で起こっていることが反映されている。

つまりテキストに閉じ込められた小さな世界から、広い海の向こうで起こっているリアルな出来事をここにいながら知ることができるのだ。ラジオのストリーミングを考えた人はなんて素晴らしいのだろう。

それから僕はラジオに夢中になった。歩いているとき、通学・通勤の電車の中、家事をやりながら、寝る前、ジョギングをしながら、一人のときのほぼ全ての時間をラジオを聴くことに捧げていたといっても過言ではない。

この習慣は少し落ち着いたとはいえ今でも僕の中に残っている。

少しの想像力さえあれば

ある日、カフェで出会ったフランス人と話をしていたときに、ふとラジオの話になった。

「ラジオは良い。音に集中できるから。テレビは情報量が多すぎる。」

彼はそう言って笑みを浮かべた。

ラジオを聴く度にこの言葉は僕の心に浮かんでくる。

確かにテレビは便利だ。映像だけで、現場の状況がひと目で分かるし、ジャーナリストの実況で詳しい情報も得ることができる。なにもしなくても大量の情報が入ってくる。つまり受動的でさえいればいい。

受動的であるのが全て悪いわけではない。だが、受け身で情報を享受する代償として、我々の想像力は衰えてはいないだろうか。想像することを忘れかけてはいないだろうか。

当たり前だが、ラジオを聴いているだけでは現場の様子は目には見えない。だが想像することはできる。話の内容や声のトーン、感情から状況を頭の中に描くことができる。音声の情報に集中することで想像を膨らませ、足りない情報を補うことができるのだ。

今日「想像力の欠如」「少しの想像力さえあれば…」といった批判が飛び交う世の中になった。これは若い世代に対して使われることが多い。受け身の状態でどんな情報も手に入ってしまう、そんな環境が想像力の足りない人を生み出してしまっているのではないだろうか。

想像した先に

ラジオのニュースから世界で起こっている出来事を知ることができる。世界で問題とされている事柄について、想像力を働かせ、考えを巡らす。そうした些細な積み重ねが、人生を生きる上で行動の指針となる。

想像することが、未来の自分の行動を変えるかもしれない。未来の行動が、今僕らが生きる世界を少しでも変えるきっかけになるかもしれない。想像力はこれほどまでに大きな影響力を秘めていると思う。

ラジオを聴くことを毎日続けたとしたらどうだろう。その瞬間では何も変わっていないように見えるかもしれないが、長い目でみるとそこに大きな変化があるかもしれない。

おわりに

そんなことを考えながら(常に意識している訳ではないが)僕はラジオを聴き続けている。

フランス留学中は現地のポータブルラジオを買ってよく聴いていた。最近はApple musicのラジオチャンネルでRFIの LIVE配信を聴くことができるようになったので今はそちらに移行しているが、ラジオを聴くという行為の本質は変わらない。

きっとこれからもフランスのラジオを聴き続けるだろう。もしこの記事を読んで少しでも興味を持ったならぜひ聴いてみてほしい。「ラジオは良い。想像することができるから。」僕ならこうおすすめする。

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