フランスの再生可能エネルギー開発における政策-風量発電と原子力エネルギーの割合と課題

近年、地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギー « énergie renouvelable »が注目されています。

これは世界的に活発な動きで、どの国もこの流れに追随するように再生可能エネルギーの開発を推し進めています。

フランスは世界一の原発国というのは有名ですが、フランスにおいてもこの流れは無視できるものではありません。

フランスは、2030年までに全電力の30%超を再生可能エネルギーに転換するという目標を打ち出しました。

今回は、フランスのエネルギー供給に関する施策と目標について紹介します。

フランスの風力発電

再生可能エネルギー(SDGsを受けて持続可能エネルギーとも呼ばれる)とは、水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱など地球のもともと存在するエネルギーを利用して産生されたエネルギーのことです。

2019年の時点で、フランスの電力供給は70%以上が原子力によるものでした。

ちなみに再生可能エネルギーは17%程度。(内訳は、水力9.2%、風力4.5%、その他わずか1%ほど)

そして近年注目されているのが、風力発電です。

フランス政府は2012年頃から風力発電開拓を推し進める計画を打ち出していました。

しかし、設置場所は都市部ではなく、田園地帯であったため住民から反対運動が起こり工事差し止めとなっていました。

その理由は、「景観の破壊」です。

電力を大量に必要とするのは、都市部の住民なのに、田舎の自然の美しさを失うのはおかしいという主張があったのです。

2019年2月に行われた6万人に対するアンケートで、「風力発電を続けるべきか』という問いに対して賛成は31%、反対意見がほとんどでした。

その他にも、助成金の問題、中国企業進出への懸念、高額な投資額の必要性などの障壁があるそうです。

ところが状況は一変します。

2019年6月14日、フランソワ・ド・リッジ環境連帯移行相は、洋上風力発電の導入を加速することを発表しました。

それにより、サンナゼール洋上風力発電所の着工が決定しました。

これは、2012年再生可能エネルギー大手EDFリニューアルズ社が建設計画を巡って、住民や漁業従事者らが起こした訴訟によって工事差し止めとなった出来事に遡ります。

2019年6月7日に審法評議会の最終的な許可を得て工事着工が決まります。

この計画では、2022年までに、風車80基、総出力480MWの洋上風力発電所を設置することを目標としています。

また、EDFリニューアルズ社は、ル・トレポール、ノワールレディエールの2箇所にも風力発電所を設置する計画を進めています。

これには、住友商事株式会社もパートナーとして事業参画しており、持続可能な社会の実現に向けて、グローバルに地球環境の保全に貢献するというスローガンを掲げています。

フランスの原子力エネルギー

フランスは、日本・福島の原発事故以来、エネルギー供給における原子力エネルギーの割合を減らしたいとの意向を表明しています。

エコロジー政党の「緑の党」だけはなく、多くのフランス人が原子力脱却を望んでいるのです。

しかし、フランス経済において原子力の担う役割は大きく、さらにそのノウハウを世界に輸出している現状では、脱原発は厳しいという見方もあったのです。

2015年、環境にやさしい発展のためのエネルギー転換の法案が議会で採決され、下記の目標が設定されました。

☆2030年までに
・化石燃料からのエネルギーを30%減らす
・持続可能エネルギーの割合を32%まで引き上げる

☆2050年まで
・フランスのエネルギー消費を半分に
・原子力からのエネルギーを半分に

そして、2020年6月30日にフッセンハイム原発の運用停止が決定しました。

フッセンハイム原子力発電所は、1978年から稼働しているフランスで最も古い施設です。

老朽化だけでなく、地震の危険のある断層の上にあること、堤防が決壊した際の浸水の危険にさらされていることから、閉鎖すべきだという意見が多数出ていました。

経済や雇用問題などから拒否されてきた事案でしたが、ようやく収束したそうです。

フランスの原発については、激しい議論が繰り広げられてきましたが、このように少しずつですが原子力脱却の方向に進んでいるようです。


関連記事はこちら→エールフランス社のCO2排出量削減・相殺目標-環境問題(気候変動・温暖化)に対する解決策

関連記事はこちら→「脱消費主義」から学ぶこと-SDGs「持続可能な開発目標」を踏まえて


参照記事1:風力発電と景観の問題

参照記事2:洋上風力の導入加速、ダンケルクの発電施設はEDFリニューアブルズが落札

参照記事3:フランスにおける洋上風力発電事業、ル・トレポール案件およびノワールムーティエ案件への事業参画について

参照記事4:フッセンハイム原発、2020年6月30日で運用停止へ

参照文献1:フランスは核エネルギーを推進し続けているの?|日本人が知りたいフランス人の当たり前

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